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新刊のご案内
マザーテレサ 来て、わたしの光になりなさい!
- 著者:マザー・テレサ
- 編集・解説:ブライアン・コロディエチュックMC
- 訳者:里見 貞代
- 定価:本体2,600円+税
- A6判 並製 640ページ
- ISBN978-4-7896-0730-8 C0116
皆さま方は、マザーテレサという言葉を聞くと、どんなことを思い出されますか?
ある人にとっては、東京に来られ、上智大学で講演されたことを思い出されるかもしれません。またある人は、マザーテレサのなさった貧しい人のなかでも、最も貧しい人への奉仕に貫かれたそのご生涯のいろいろなことを思い出されたかもしれません。そしてまた、ある人は、マザーがノーベル平和賞を受けられた時のこと、亡くなられた時のことなどを、思い出されたかもしれません。
本書は、皆さまが挙げてくださった、これまでのマザーのすばらしい業績がどこからほとばしり出ていたのかを明かすもので、本書の中で初公開された私的な書簡はそれを明らかにしています。それは、マザーテレサの苦しみでした。
いつもほほえみを人々に撒きながら、明るく、精力的に貧しい人々に奉仕していたマザーの外的な生涯からは、想像すらできない苦しみでした。
マザーが見た幻視の中で、イエスは彼女にこう語りかけました。
「来て、来て、貧しい人のあばら家にわたしを連れていきなさい。来て、わたしの光になりなさい」と。
その後、彼女はロレト修道会を去り、神の愛の宣教者会を創立しました。しかし、すぐに彼女の心は暗闇に閉ざされてしまいました。信仰すら失ったと思うほどの苦しみの体験でした。
霊的指導司祭の勧めは、「神に全面的に委ねなさい」というものでした。この勧めにしたがい、ただひたすら、闇をも神にささげ、イエスとの一致のうちに、神に身をささげたのです。
彼女は、このように書き残しています。「この暗闇は、イエスが地上で味わった暗闇と痛みの一部だと信じます。イエスはもはやご自分では苦しむことが出来ないので、地上にいる私のうちで苦しむことを望んでおられることに深い喜びを、今日ほんとうに感じました。今まで以上に、神に自分を委ねます」と。
こうして、イエスの十字架上での苦しみを、その渇きをいやそうとひたすら自分をささげ尽くし、暗闇の聖人としての生涯を全うされたのです。
この本が英語で出された時、『タイム』誌が大きく取り上げ、だいぶ騒がれましたから、ご記憶の方もいらっしゃることでしょう。その後、いくつかの一般の出版社が、著作権者と交渉し、出版しようと努力なさいましたが、途中で放棄せざるをえませんでした。それは、マザーの深い宗教的な内面を翻訳することが難しく、同時に、指定された編集者に見せること、日本の「神の愛の宣教者会」からのチェックを受けること……などの条件があり、翻訳の段階であきらめた、と聞いています。今回、このハードルが高い著作権者の要求など、すべてをクリアして出版されました。翻訳者の訳文も読みやすく、新たなマザーテレサの伝記が出版されたことは、うれしいことです。今、話題の1冊です。ぜひ、ご覧ください。